Muséum national d’Histoire naturelle(パリ)、Nausicaá Aquarium(フランス北部)、Natural History Museum(ロンドン)
3つの新しい複合現実体験が、既存の展示空間を最大限に活かして追加の収益につなげ、博物館のインタラクティブ展示のあり方を再定義しています。
収益を新たに生み、来場者を増やし、既存の展示空間を活かしながら、建物の構造には手を加えず、設置スペースも最小限で済む。そうした新しいタイプの博物館アトラクションをつくる方法があるとしたら、どうでしょうか。
私たちはこの課題に取り組み、複合現実の特性をそれぞれの形で引き出す3つの体験を制作しました。来場者を引き込み、学びにつながるインタラクティブ性を備えています。展示空間そのものが体験の一部となり、その場ならではの文脈を与えます。しかも、既存の展示が本来もつ目的や機能を損なうことはありません。
博物館はそれぞれに固有の空間ですが、私たちに許された範囲は限られていました。展示空間の改変は不可、展示ケースや床へのサイン設置は不可、機材や什器の追加も不可、照明の変更も不可という条件です。
体験には、既存の空間の魅力を引き出しながら、追加のチケット代に見合うだけの引き込む力をもった教育的な物語が求められました。回転率と信頼性も基本となる要件です。人数の異なるグループが同期した体験を一緒に進み、安定した確かなペースで移動できること。それを毎日、何年にもわたって続けられる必要がありました。
そこで私たちは、それぞれの体験を、実際に運営される展示空間に演出面でも物理面でも根づかせる形で設計しました。パリでは、来場者が展示ケースの周りで絶滅した動物を追いかけ、頭上を舞う姿を見上げます。Nausicaa Aquarium では、巨大な海の生きものが大水槽から泳ぎ出てくるように現れ、来場者が息をのみます。ロンドンでは、床から巨大な樹木が伸び、生態系が来場者を取り囲みます。
体験そのものの制作には多くの労力がかかりますが、実際の運用条件のなかで動かなくなってしまえば、その努力は意味をもちません。来場者は案内どおりに動きません。機材は故障します。スタッフが上演の途中で交代することもあります。
20年以上にわたる体験型制作の経験から、機材には信頼性があり、扱いやすく、保守しやすく、交換しやすいことが欠かせないと分かっていました。複数のデバイスとソリューションを検証したうえで、安定したトラッキング、より広い視野、そして長持ちし交換も簡単なバッテリーを備える HoloLens 2 を採用しました。
ハードウェア管理用のバックオフィスアプリケーションを開発し、博物館のスタッフが無理なく運用できる手順を整えました。ヘッドセットの割り当て、グループ分け、配布、言語の切り替え、バッテリー交換時期の把握、故障した機材の交換、再利用に向けた整理と清掃までを対象としています。

デジタルの世界の多くが個人のデバイスという狭く閉じた空間で完結するなか、これらの体験はそれとは異なる時間を提供します。1人だけの操作という制約からも、VR体験のように区切られた空間からも解放され、複合現実では、来場者がふだんと同じように周囲を見て、動き、参加し、ほかの人とやりとりできます。デジタルの体験レイヤーが、過度に押しつけがましくならない形で、文脈とインタラクティブ性、そして物語を加えます。
これらのアトラクションはグループでの参加を前提に設計されており、今の時代には珍しい、参加型で双方向の共有体験を実現します。友人や家族と同じ驚きを分かち合い、全員が同じものを同じ瞬間に一緒に体験していると分かること。そこには確かな価値があります。
本プロジェクトは、体験の脚本と制作を手がけた Saola Studio との協働により実現し、Wide&Wide が制作に加わりました。Gimbal Cube は、複合現実体験の開発、アプリケーション開発、ヘッドセットの管理と展開、現地でのロケーショントラッキングとキャリブレーションのすべてを担当しました。会場:Muséum national d’Histoire naturelle(パリ)、Nausicaá Aquarium(フランス北部)、Natural History Museum(ロンドン)。
ロンドン、最初の6か月間。
運営4年間で
運営3年間で
東京、Paris、Los Angelesを拠点に世界中のブランドのサポートをしています。
イベント会場へ出張し、機器の設営、保守も大得意です。