AIをめぐる問いの立て方 - Digital Explorers' Diary #38

Digital Explorers' Diary #38へようこそ。
インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。
今回の要点:
- AIは賢いのか愚かなのかという議論について、使われている言葉が誤解されており、議論がすれ違う原因になっていると論じます。
- Googleから多数の発表。位置連動型ARのAPIと、主要サービスへの生成AIの組み込み。
- Amazon Everywhereが公開され、アプリ内に購入ページを組み込めるように。
- 素晴らしいARゲーム、Peridotのレビュー。
- 軽量で安価なVRグローブのクラウドファンディング。
- 不気味なほどリアルなゲーム、Unlocked。
- そして、ChatGPTがVR開発をどう助けられるかを示した開発者。
「AIは賢いのか、愚かなのか」は正しい問いではありません
「バズを解体する」のコーナーへようこそ。
ChatGPTの台頭と生成AIの隆盛以来、AIは「知的」なのか「賢い」のか「愚か」なのかという議論が続いています。そして双方が、これらの言葉を使って、AIは私たちを救う、あるいは滅ぼすと主張します。
だから、下にあるようなバズる投稿や例を目にすることになります。ChatGPTが数多くの試験で上位数パーセントの成績を収める一方で、ごく単純な論理問題につまずく、というものです。
これは、生成AIをめぐる大きな混乱、すなわち擬人化、そしてある意味では人間そのものについての混乱を、見事に示しています。
私たちは、人間の能力という途方もない広がりを、狭い言葉に押し込めてしまっているのです。
先ほどの試験の話における「賢い」とは、実のところ「知識を引き出して書き写すのが非常に上手い」という意味です。
そして論理テストの例における「愚か」とは、「問題を正しく抽象化できない」という意味です。ちなみに、同じ問題を今日GPT-4とGoogle Bardで試してみました。Bardは最初こそ間違えましたが、これは論理問題だと伝えると即座に解きました。動画とは違い、GPT-4は間違えませんでした。更新が入ったのかもしれません。
ともあれ。
私たちはもっと多くのものを備えています。自己認識、情動的知性、常識、抽象化、批判的思考、協調、コミュニケーション。
超知能AIをめぐる期待と不安は、すべてこうしたニュアンスの中にあります。AIは、膨大なデータからパターンを抽出して地球規模の課題の解決策を示せる一方で、ラブソング一つ書けないのでしょうか。あるいは、AIが世界の金融の鍵を託されながら、情動的知性を欠いて人命を計算に入れず、破局が起きるのを目にすることになるのでしょうか。
AIが善をなすために、人間並みに幅広く知的である必要はありません。そして害をなすために、狭い意味で愚かである必要もないのです。
人であれAIであれ、私たちが交わすあらゆるやりとりは一つの体験です。そして私が情熱を注いでいるのは、その体験に(広い意味での)知性を取り戻すことです。共感いただけたら、ぜひご連絡ください。
#ExperientialIntelligence
今週のニュース:
- 先週はGoogleから多くの発表がありました。MicrosoftやOpenAIと渡り合えるでしょうか。
想像してみてください。現実世界にアンカーを置き、そこに3Dオブジェクトを紐づけて、誰もがそれを見られるようにする。逆に、Googleストリートビューを3Dゲームのように歩き回る。それがGeospatial Creatorの力です。位置連動型のAR体験がこれから数多く登場するはずです。
これは「メタバース」への一歩でもあります。常時稼働し、ユーザー間で共有できる仮想空間が加わるからです。
生成AIがあらゆる場所に。ChatGPTの対抗馬であるGoogle Bardが誰でも使えるようになり、Google検索、Gmail、Google WorkspaceにもAI機能が入ります。
興味深いことに、彼らは安全性にも取り組んでおり、Google画像検索に文脈情報を追加し、自ら生成した画像には印を付けるとしています。 - 想像してみてください。あなたはゲームやアプリの中にいて、そこからAmazonアカウントを使って現物の商品を直接購入できる。それがAmazon Anywhereであり、Nianticの最新作Peridotで利用できます(下のレビューをご覧ください)。
ポッドキャストから
毎週、Guillaume BrincinとSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。
- Nianticの最新ARゲームPeridotを、生放送で試しました。たまごっちに着想を得ていますが、それ以上のものを届けてくれます。ついに本物のARゲームが登場しました。技術が飾りではなく中核の機能になっており、AIによって世界を的確に理解します。実際、人、ペット、地面の種類(芝、砂など)を認識できるのです。強くおすすめします。
- VRの中で物に触れ、感触を得られるとしたら、どうでしょうか。現在Indiegogoで資金調達中のBifrost Pulse VRグローブは、非常に興味深い製品です。軽量で比較的手頃な価格ですが、約束どおりの体験を届けてくれるでしょうか。
- 数週間前、Unrecordという新作ゲームのトレーラーが話題になりました。あまりにリアルなため、フェイクだと思った人が大勢いたほどです。しかし本物であり、これほどの写実性を可能にした3つの要素を取り上げます。一つ目はもちろん、Unreal Engineという圧倒的なゲームエンジンの力。二つ目は、UIが一切ないこと。これによりゲームらしさが薄れます。三つ目は、カメラの動きがプレイヤーの頭に固定されたものではなく、映画の映像に近いことです。
現実と見紛うゲームは、もうここにあるのではないでしょうか。下でご確認ください。 - 最後に、VR開発者のValemがChatGPTを使って、史上最も有名なVRゲームBeat Saberを再現した動画について話しました。ここでもいつもどおり、ニュアンスが肝心です。ChatGPTがゲーム全体を独力でコーディングしたわけではありません。ValemはVR開発者であり、何を尋ねるべきかも語彙も分かっています。さらにGPTはBeat Saberの登場後に学習しているので、AIはその概念を知っているのです。
ですからChatGPTがどんなゲームでも再現できる、とは言わないでください。とはいえ、非常に強力な助手であることは確かです。