AI規制がやってくる - Digital Explorers' Diary #40

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インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • AIの規制が迫っており、それはあなたの事業にも影響します。
  • Meta Quest 3は有望です。前機種より使われる製品になるでしょうか。
  • Adobeの画像生成AI「Firefly」がベータ版で利用可能に。
  • フランスがインフルエンサービジネスを規制へ。
  • そして、AIによる故人との「対話」。

次回予告:来週のニュースレターは「メタバース」特集です。AppleのXRデバイス、XRealのARグラス、NvidiaのAI搭載アバターを取り上げます。来週はXR業界の転換点になるのでしょうか。

AI規制と、それがあなたにとって意味すること

ここ数週間、AIの規制をめぐって多くの動きがありました。掘り下げていきましょう。

EUのAI法は2年前から準備が進められてきたもので、つまり現在の熱狂よりずっと以前から動いていました。その狙いは民間・公共の双方でAIの利用を規制することにあります。AIツールを想定されるリスクの水準ごとに分類し、規制、透明性、義務の度合いを段階的に強めていく仕組みです。
GDPRの延長線上にある主目的はプライバシーの保護で、たとえば生体認証の分析を用いて利用者を予測的に取り締まるようなAIは禁止されます。

続いて、OpenAIのCEOサム・アルトマンが、IBMのクリスティーナ・モンゴメリー、科学者から起業家に転じたゲイリー・マーカスとともに米議会に出席しました。「Oversight of A.I.: Rules for Artificial Intelligence」と題された公聴会で見えたのは、入念に準備してきたアルトマンの姿でした。彼にはすべてに答えが用意されていたのです。
彼は人工知能は規制されるべきだと述べ、「もし間違った方向に進めば、とんでもないことになり得る」と語りました。

では、いったい何が起きているのでしょうか。

アルトマンの動きは、技術を強力だと喧伝することで過大評価を煽るものだ、という見方もできます。熱狂を高め、注目と利用者と投資家をより多く引き寄せる、というわけです。

しかし彼だけではありません。AI分野の著名な人物の多くが高いリスクに警鐘を鳴らしています。たとえば「AIのゴッドファーザー」と呼ばれるジェフリー・ヒントンは、まさにその理由で最近Googleを去りました。

対極には、AIは「愚か」なのだから、それに伴う存亡リスクなど問題ではない、と主張する声もあります。たとえばMetaの副社長ヤン・ルカンは「車を発明する前にシートベルトを発明することはできない」と述べ、まだ存在しないAIを整合させようとするのは幻想だとほのめかしました。

ともあれ、これはあなたとあなたの事業にとって何を意味するのでしょうか

  • 規制は間もなくやって来ます。EUのAI法には2年の猶予期間がありますが、AIを使う事業を営んでいるなら、GDPRのときと同じくコンプライアンス費用の増加を意味し得ます。
  • 規制の前に、事業リスクを最小化するための教育が必要です。たとえば、ChatGPTは正確だと信じて存在しない判例だらけの書面を作成してしまった弁護士の例があります。これは適切な研修と情報共有で容易に防げます。チームと話してください。
  • 自社のユースケースを深く考えてください。あなたやあなたの顧客はAIを使っていますか。AI利用が制限されると何が起きるでしょうか。一例として、GDPRがもたらした帰結を見てください。全体的なコスト増(弁護士、エンジニア)から、ターゲティング広告の新しい手法を探す企業の動きまで。ちなみにその解決を助けているのもAIです。皮肉なものです。

締めくくりに、もう一つ思考実験を。AIチャットボットによる検索が標準となり、GoogleやBingのキーワード検索に取って代わったとしましょう。あなたは観る映画を探し、ボットは評価の高い作品をネット中から集め、あなたの好みと突き合わせ、そのままストリーミングサービスへ案内してくれます。
それ以前は、自分で調べ、予告編をいくつか観て、レビューを読む必要がありました。あなたが使っていたサイトは、そのとき流入を失います。彼らはどうなるのでしょうか。ChatGPTのプラグインをつくるなどして、方向転換し新しい道を探すべきでしょうか。OpenAIやGoogleは、ブランドや企業がこうしたチャットボット内でサービスを訴求できる、新しいビジネスモデルをつくるのでしょうか。

これはインターネットのビジネスを根底から変えることなので、現在の規制の議論に必ず含めるべきです。

今週のニュース:

  1. Metaの次期ヘッドセットをめぐる噂が増えています。その名も「Quest 3」。2023年後半の発売予定で、Quest Proの機能の一部をより低い価格帯で、改良を加えて提供します。Appleの想定価格よりはるかに安く(約400ドル対3,000ドル)、明らかに別の客層を狙っています。これでMetaは販売と利用の両面で首位に返り咲けるでしょうか。Quest 2は約200万台を売りましたが、利用者はそれほど使っていません。
    Quest 2はVRヘッドセットでした。カラーカメラの追加により、今回の新型は周囲を見ながら環境と関われるMRデバイスになります。とりわけ深度センサーによって、部屋を自動的にマッピングできるようになります。
    Quest 3の想像図(出典
  2. 生成AIの競争で、Adobeの反撃は早々にやって来ました。先週Fireflyを公開し、Creative Cloudの全契約者がベータ版を利用できます。
    Photoshopに組み込まれている点が大きい。史上最も普及したデザインツールに、生成AIが内蔵されたのです。
    現時点のFireflyでは、領域を選んでそこに何を描いてほしいか指示するか、自動で埋めさせることができます。
    AIによる画像生成の常として、うまくいく場合とそうでない場合があります。特定の対象より、一般的な「もの」のほうが得意です。山にいる犬の画像なら成功しやすいですが、バッテリー2本式のT342ドライバーとなると難しいでしょう。(名前は私の創作ですが、言いたいことは伝わるはずです。)
    Adobe Firefly
  3. 2022年9月に言ったとおり」シリーズです。AE Studioが計画しているのは、故人と会話できるAIチャットボットです。みなさん、奇妙な時代に備えてください。
    OpenAIを基盤とし、その人物のメールやチャットを読み込ませると「ペルソナ」が生成され、チャットボットに与えられます。
    ベータテスターが指摘するとおり、現在のAIに特有の平板な口調のせいで、「魔法」はすぐに醒めます。しかしAIが良くなるにつれ、不気味の谷はいっそう深くなっていくでしょう。ちなみにAIと会話してみたいなら、いま最も人気のあるアプリReplikaを試せます。
    関連して、あるインフルエンサーがAIで動く自分の仮想版を公開し、1分1ドルで会話できるようにしました。そして案の定、うまくいきませんでした
    私は普段、物事をかなり慎重に評価するほうですが、自意識過剰なインフルエンサーがフォロワーの孤独につけ込むのは、まったく良い方向とは思えません。
    Seance AI
  4. 今週の主題に関連して、フランスでは今夏、インフルエンサー業界を規制する法律が成立する見通しです。詐欺が相次いだことを受け、この法律はインフルエンサーによる美容整形、暗号資産、金融サービス、模倣品の宣伝を禁じます。
    例によって、問題は運用にあります。法を執行する責任は誰にあるのか。EUのデジタルサービス法が求めるように、プラットフォームがそれを担うべきなのか。だとすれば、不正な利用者を通報し、あるいは排除するのでしょうか。

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。

  1. 先週取り上げた話題をさらに掘り下げます。ARグラスはパソコンの画面に取って代わるのか。それが未来であることには同意しつつ、いまのグラスが日常的な使用に耐えるだけの完成度にあるのかという疑問が残ります。未発表のXiaomiXrealが流れを変えるでしょうか。
  2. MetaとMagic Leapが提携に向けて協議中という話題から、Appleのデバイス発売をめぐる熱狂、そしてそれを見越して業界の他社からの発表が相次いでいる状況へと、話は広がっていきます。
  3. Sebが、NERF技術がますます使いやすくなっている様子を見せてくれました。クリエイターやエージェンシーの方へ。Luma.aiのようなアプリが提供する驚くべき機能は、ぜひ一度確かめてみる価値があります。あなたの発信を一段上へ引き上げてくれるはずです。

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