技術万能主義への反論 - Digital Explorers' Diary #42

Digital Explorers' Diary #42

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インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • 技術だけに頼ってすべてが魔法のように解決するという考えに、私が同意しない理由についての論考。
  • LenovoのXRヘッドセット。
  • AIを用いた新しいモーションキャプチャーツール「Invisible」。
  • そしてApple Vision Proについての考察と続報。

楽観一辺倒の技術礼賛への反論

ずいぶん堅苦しい見出しになりました。流行りの言葉で書いてみたのですが、いかがでしょうか。

平たく言えば、技術だけを信じて世界が良くなり、すべてが魔法のように解決するという考えに、私が同意しない理由です。

AIの恩恵をめぐる極端な楽観論で近ごろ注目を集めているこの潮流は、技術の進歩だけを根拠に人類の明るい未来を描いていますが、大きな要素を見落としています。人間です

確かに技術は多くの解決策と改善をもたらし得ます。再生可能エネルギーや、効率的で安価な新しい形態のエネルギー。病気を防ぎ治すための遺伝子工学(CRISPR)や脳内インプラント(NeuraLink)。食のための培養肉や植物由来の食事。協働と交流と娯楽のためのメタバース。分散型の金融や政治の仕組み。そして仕上げに、それらすべてを加速させる人工知能。

どれも素晴らしく、実際に起こる可能性は高いでしょう。
そして仮に汎用人工知能が、私たちの生活と世界を可能な限り最良の結果へと最適化できるとしても、もう一つ進化しなければならないものがあります。私たち自身です。

上に挙げたどの技術についても、悪意ある使い道は簡単に思いつきます。エネルギーと食料へのアクセスを、支払える者だけに限ること。眠っているあいだにあなたの脳を使う脳内インプラント(冗談ではありません)。遺伝子をいじりすぎた結果としての非倫理的な優生学や、極めて強力な生物兵器。そして整合されていないAGIが引き起こす惨事。

では、そのすべてを制御しているのは誰でしょうか。私たちです。
いまだ戦争が起きており、世界的な課題の大半について賢明な集団的意思決定ができずにいる世界で、なぜ私たちはこれらの激変をうまく御せると想定できるのでしょうか。

そしてAIについて。「整合する」とは何を意味するのか、誰が決めるのでしょうか。たとえば米国、中国、ロシアの政府が思い描く「整合された」人工知能の姿は、まったく異なるはずです。

AIが私たちの集団的知性の問題も解決してくれる、という反論もあり得ます。それは正しいかもしれませんが、その勧告に従うよう、AIはどうやって私たちを仕向けるのでしょうか。脳内インプラントを通じて強制し、世界を完璧なディストピアに変えてしまうのでしょうか。

現在の仕組みの内側に解はありません。利益への誘因と不健全な競争があまりに強すぎます。私たちはいまだに、何よりも自分の都合を優先しています。

それはどうすれば変わるのでしょうか。私たちはどう変われるのでしょうか。変われると私は信じていますし、その道を切り開くのは若い世代でしょう。別のゲームがあり得るという同じ思いに突き動かされたスタートアップや思想の潮流が、最近数多く芽吹いているのを目にしています。

心当たりがありますか。共感いただけたなら、ぜひご連絡ください。

今週のニュース:

先週に続き、話題はAppleが席巻しました。とはいえ、注目に値するものをいくつか挙げます。

  1. DisguiseMove.aiが協業し、AIを活用したリアルタイムのモーションキャプチャーソリューションInvisibleを公開しました。
    これまではリアルタイム性が不要な場面でしか使えませんでしたが、スマートフォンの映像だけを用いるため、モーションキャプチャーの費用を大きく下げられます。クライアントの体験づくりで使うのが待ちきれません。
  2. Appleの発表の陰に隠れましたが、これも見逃せません。LenovoがThinkReality VRXを発表しました。新しいVR/MRヘッドセットです。
    企業・産業用途を狙った製品で、ハードウェアの出来も良いのですが、何より会議や協働のためのソフトウェア群と端末管理の仕組みを備えている点が重要です。消費者向け端末の多くは企業水準の端末管理を欠いているため、これは賢い一手です。品質は伴うでしょうか。レビューが楽しみですし、ぜひ試してみたいところです。(ちなみに、映像の撮り方が見事です
  3. 先週のAppleで注目すべき発表が一つ。Vision ProでWebXRが利用可能になります
    これは何を意味するのでしょうか。これまでXR体験を配信するには、ストアにアプリを申請する必要がありました。
    WebXRなら体験はウェブから利用でき、体験づくりの可能性が大きく広がるうえ、インストールするアプリがないため摩擦も減ります。
    ただし現時点ではデバッグ用の切り替え項目にとどまっており、実際に既定で有効になるまでには時間がかかるかもしれません。

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。

  1. 今回はApple Vision Proだけで一回分を使い、機能と位置づけについて語り合いました。もちろん早く試したくてたまりません。いくつか論点を挙げます。
    Disneyとの協業は実際どこへ向かうのか。基調講演で示された要素の多くは、作り物めいて見えました。
    関連して、産業分野に強いPTCとの提携についてもごく短い言及がありました。あれはVision Proが企業でも使えるという示唆にすぎなかったのでしょうか。
    visionOSでアプリを公開する際の審査は、どのようなものになるのか。Appleは当初から、自社プラットフォームで何を許すかについて非常に厳格でした。機能面でも収益化の面でもです。アプリ制作者にどんな制約を課すのでしょうか。一つひとつの体験を丹念に管理するのか、それともiOSより寛容になるのか。WebXRが既定で有効になるまでは(上のニュース参照)、私たちは前者に賭けます。
    高級な素材を使った以上、本体の重さは弱点になるのでしょうか。それとも、バッテリーを分離しておけば、数年後により強力なものへ交換しやすいと考えているのでしょうか。

毎週水曜UTC10時にTwitchで配信、アーカイブはYoutubeでご覧いただけます。

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