AIバブルの現在地 - Digital Explorers' Diary #43

Digital Explorers' Diary #43

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インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • AI界隈の最新動向。バブルはどうなっているのか。
  • LVMHとEpic Gamesが提携。
  • メタバースが地球温暖化に対して差し引きプラスに働くと論じる研究論文。
  • そしてGoogleが、ファッションの試着を一変させ得るAIを公開。

AIの世界で何が起きているか

ここ数週間はVR、いや失礼、今は「空間コンピューティング」と呼ぶのでしたね、AppleのVision Pro発表のおかげでその話題が続いたので、人工知能のバブルが今どのあたりにあるのかを点検しておくのも良いと考えました。そしてバブルは膨らんでいます。

まず、規制が動き出しました。EUのAI法が圧倒的多数で可決されたのです。手続きはまだ完了しておらず、2年の猶予期間もあるため、適用は2026年より前にはならないでしょう。とはいえテック業界にいるなら、備えておくことをお勧めします。GDPRと同じような展開になれば、多くの企業に影響が及びます。とりわけ利用者の個人データを扱っている場合はなおさらです。

AI法が防ごうとしている一例を挙げます。ある保険会社が、あなたが病気「A」を抱えていて、趣味「H」を持っていることを把握しているとしましょう。AIを使うと、AかつHならば病気Bの可能性が非常に高い、という予測が立ち得ます。予測医療にとどまるなら結構なことですが、保険会社が先回りして保険料を引き上げるかもしれません。しかもAIは間違うことがあります。あくまで予測にすぎないのですから。さらに掘り下げたい方は、目の覚めるようなこの記事をお読みください。

次に、バブルの到来を示すもう一つの兆候です。設立からわずか4週間のMistral AIが、1億3,300万ドルのシード資金を調達しました。製品すらなく、あるのはGoogleとMetaの元社員たちによる約束だけ。どこかで見た光景ではないでしょうか。ちなみに別のバブルでは、暗号資産ヘッジファンドThree Arrows Capitalの破綻時に差し押さえられたNFTが先週金曜、サザビーズのオークションで620万ドルで落札されました

Metaといえば、彼らは企業に対し、次世代のオープンソースAIを自由に使い、そこから収益を上げてほしいと考えています。もちろん自社にも利益があります。GoogleやOpenAI/Microsoftから顧客を引き寄せ、大量のデータや指標、知見を得られるからです。広告業界の方へ。まもなくMetaのAIが、より多くの人に、より高い精度で届く広告づくりを手伝ってくれるようになります。

何百万ドルという話から離れて、ごく普通の仕事も影響を受け、姿を変え始めています。IKEAはコールセンターの従業員を訓練し、「Billie」というAIの力を借りてインテリアデザインの相談員へと転身させました。もちろん有料サービスであり、IKEAはこれが人員削減にはつながっていないとしています。AIアシスタントによって従業員がより多くをこなせるようにする、その前向きな成果と言えるでしょうか。今のところは。

関連して、こちらは少し気がかりな話です。これまでのところAI(主にChatGPT、まもなくGoogle WorkspaceのAIも)は、個人の生産性を大きく高めた一方、企業全体の生産性はさほど押し上げていません。多くのオフィスワーカーが、勤務先に伝えないままChatGPTを使っています。主な理由はセキュリティと信頼への懸念です。雇用主はこれにどう向き合うべきでしょうか。私は記事の主張に賛成です。公にすることを促しましょう。従業員が安心して支えられていると感じられて初めて、会社全体が生産性の向上を享受できます。あらゆる意味において、です。従業員発の取り組みに使える時間、より効率的な業務プロセス、そして休息の増加。

今週のニュース:

  1. 大ヒット作FortniteとゲームエンジンUnreal Engineを生んだEpic Gamesが、LVMHとの提携に入りました
    ラグジュアリー業界は実際、若い世代を惹きつけるためにデジタルの世界を取り込む必要があります。メタバースでのイベント、デジタル商品、そしてあらゆる種類のデジタル体験です。
    製品のデジタル版、リアルなアバター、本物と見紛う環境を撮影・変換・制作するための幅広いツール群を考えれば、Epic Gamesは賢い選択です。
    LVMH
  2. やや関連して、新しい研究論文が出ました。会議やイベント、打ち合わせをバーチャルに移行することで、2050年までに地球温暖化を最大0.02℃抑えられる可能性があるというのです。
    物品の生産増加やサーバー基盤なども勘定に入れたうえで、移動の削減やその他の効率化による効果のほうが大きいと著者らは見積もっています。
    またしても「言ったとおり」の瞬間ですが、私は昨年9月にそう予想していました
    Midjourneyで生成
  3. 同じく研究の話題で、Googleがファッション分野の成果を公開しました。この新しいAIは二つの入力を受け取ります。元の衣服と、利用者の写真です。そしてその利用者がその衣服を着ている新しい画像を生成します。
    ファッション業界のみなさん、これを覚えておいてください。この種の技術によって、商品撮影と試着の世界は今後数年で大きく変わります。備えましょう。
    Google

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。

  1. Apple Vision Proの話題からひと息入れて、新しいLenovo ThinkReality XRヘッドセットを取り上げます。マーケティングの方向性はAppleの正反対で、企業向け、端末管理ソリューション、会議用クラウドサービスといった具合です。成功するでしょうか。やや高価ですが、産業界はほかのメーカーよりLenovoを好み、信頼するかもしれません。
    Lenovo
  2. そしてApple Vision Proの話を続けます。要点はこうです。Appleが操作性と品質の水準をあまりに高く設定したため、ほかの各社も引き上げざるを得なくなるかもしれません。差し引きすれば、利用者にとっては望ましい結果です。
    Apple Vision Pro

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