意味のある体験を設計する - Digital Explorers' Diary #44

Digital Explorers' Diary #44

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インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • 意味のある体験を設計するための5つの原則。
  • 電源LEDを撮影するだけで、機器から暗号鍵を盗み出す手口。
  • ポケモンGOにAR広告が登場。
  • そして、ブロックチェーンがAIエージェントをどう活かすかを論じた、古いながらも実に的確な記事。

意味のある体験を設計する

第一幕で壁に拳銃を掛けたのなら、次の幕でそれは発砲されねばならない。さもなければ、そこに掛けてはいけない。
— アントン・チェーホフ

最先端の技術を用いたインタラクティブな体験を設計するとき、私たちは常にこの原則を心に留めておく必要があります。チェーホフの銃として知られるこの考えは、物語の、この場合は体験の一つひとつの要素が、全体の語りに寄与し、伝えたいメッセージを前へ進めるべきだと教えてくれます。

原則

気を配るべき原則をいくつか挙げます。

  • 意味のあるインタラクション: 目的もなく機能を足さないこと。体験のあらゆる要素について必要性を問い直し、価値を生まないなら取り除きましょう。
    悪い例: 流行っているというだけで、明確な理由もなくAIチャットボットを入れる。
    良い例: 仮想のキャラクターが現実の環境を把握する助けとなるAI(ゲームPeridotより)
  • 単純さ、一貫性、明快さ: 多くの利用者は、AR・VR・MRといったインタラクティブ技術にまだ慣れていません。複雑だったり一貫性を欠いたりする操作は混乱を招き、体験を使いづらくし、物語から注意をそらします。体験はできる限り単純であるべきです。
    悪い例: 体験を完了するのに、複雑な手のジェスチャーを求める。
    良い例: AppleのVision Proにおける、見つめてつまむ操作。
  • 語り、期待、そして報い: 銃が発砲されることで期待が報われるように、インタラクティブな体験にもそれ自身の動機づけが要ります。課題をやり遂げた満足感、思いがけないアニメーションの楽しさ、あるいは重要な情報の開示。悪い例: 物語が一切なく、ただ物体を3Dで見るだけが目的のAR体験。
    良い例: クイズに挑戦し(期待)、正解すれば特典がもらえる(報い)小売店のインタラクティブ体験。
  • 感情への働きかけ: 優れた物語は感情を呼び起こします。同じように、優れたインタラクティブ体験は多くの場合、利用者と感情の次元でつながります。利用者は体験に深く組み込まれた存在であるべきです。
    悪い例: 誰にでも合うようにと個別化を欠いた体験を設計すれば、利用者は大切にされていないと感じます。
    良い例: 絶滅した動物を仮想的に見て、手のひらに乗せられる美術館のMRツアー。(私たちが手がけたRevivreをご覧ください)
  • 文脈: 物語の中の行動が筋書きや登場人物と結びついているべきなのと同じように、体験がその文脈の中で意味を持つようにしましょう。利用者の環境、属性、使用する端末などを踏まえてください。
    悪い例: 複雑なARゲームを設計し、対象が50代以上であることを忘れる。
    良い例: 子ども向けに設計され、利用にあたって事前に保護者の承認が必要なARのお絵描き・塗り絵体験。

忘れないでください。最後にそれを体験するのは、いつも一人の利用者です。チェーホフの知恵に従い、常に利用者を念頭に置いて、心を掴む体験をつくりましょう。

今週のニュース:

  1. Nianticが大ヒット作ポケモンGOで、AR広告を解禁しました
    順当な流れであり、この種の広告は今後、多くの仮想世界で標準になっていくと見てよいでしょう。
    Niantic
  2. 技術が魔法のように見えることがあります。研究者たちが、機器から暗号鍵を取り出すことに成功しました。その電源LEDを撮影するだけでです。
    AIを不安視する人にとって、これは格好の例です。今回は研究者が思いついたので対策を講じられますが、将来の超知能AIはこれ以外の手口をいくらでも思いつくかもしれず、制御も予防も極めて難しくなるでしょう。
    実験装置の写真。
  3. 暗号技術と結びついたAIが経済をどう変えるか、そして政策立案者が今日なすべきこと」。古い記事ですが実に読み応えがあり、ブロックチェーンとやりとりできるChatGPTプラグインという最近の動きは、明らかにその方向への一歩です。
    要するに著者は、多数のAIエージェントがブロックチェーンの仕組みに支えられ、効率的で追跡可能かつ信頼できる形で協調して動く未来を描いています。
    彼が挙げる例は見事です。
    「……将来、多くの家庭の屋根に太陽光パネルが載るとすれば、これからのスマートホームは、電力をいつ買い、蓄え、系統へ売るかを最適化する必要が出てくる。それはおそらく、デビットカードのような既存の決済システム上では行われないだろう。むしろ、各家庭の電力需要を代弁するエージェント同士が互いにデータを共有し、いつ買い、蓄え、売るかを最適化する仕組みとして、高い拡張性を持つ暗号ネットワークが最適だと私は考える。そして人々は、自宅のスマートホームを動かす最良のソフトウェアエージェントを選ぶようになる」
    https://medium.com/@benfar

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。

  1. Seeing the World through Your Eyes」という、驚くべき、そして少し恐ろしい研究論文について話します。研究チームは、人の目に映った反射だけを手がかりに、その人が見ていた光景を画像として再構成することに成功しました。完成度はまだ高くありませんが、これが実用化されたときのプライバシーへの影響は計り知れません。
    Seeing the World through Your Eyes
  2. Zappar Zapboxは興味深い製品です。スマートフォンを差し込むと、MRヘッドセットになります。周囲を覆う筐体がなく、価格を考えれば相当に良い印象だそうです。ただ、用途については疑問も残ります。体験の質は当然、HoloLensやApple Vision Proのような本格的な端末には及ばないからです。
    とはいえ着想は面白い。スマートフォンとしてもヘッドセットとしても使える端末に、未来はあるのでしょうか。
    Zappar Zapbox
  3. そして再びApple Vision Proについて、そのハードウェアを推測したこの記事を取り上げます。注目点をいくつか。
    外向きディスプレイがあるため、MR用のカメラが目の高さの真正面に置かれていません。これが奥行き知覚の問題を生む可能性があります。
    視野角は見事ですが、筐体が没入感を削ぐかもしれません。
    重量があり、その大半が前方と鼻にかかっているようです。これがこの製品の最大の問題かもしれません。長時間頭に載せ続けるのは、つらい可能性があります。
    Karl Guttag

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