技術との愛憎関係 - Digital Explorers' Diary #46

Digital Explorers' Diary #46

Digital Explorers' Diary #46へようこそ。

インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • 人間と技術のあいだにある愛憎関係を掘り下げます。
  • 驚くべきラスベガスのSphere。
  • りんご(果物のほうです、あのブランドではありません)を収穫するドローン。
  • そして拡張ライブ配信、コンサートの未来。

技術とは愛憎の関係である

ここ数週間は創造性とインタラクティブな体験に焦点を当ててきましたが、今回は人工知能の話題に少し戻りましょう。

機械が私たちのためにしてくれることは好きかもしれない。しかし、機械が私たちに対してすることは好きではない。

ジャック・フレスコ『The best that money can't buy』

この言葉は、あらゆる技術との関係の本質を、そして今回の場合は人工知能との関係の本質を、見事に言い表しています。

私たちはAIが自分たちのためにしてくれることを愛しています。仕事はより効率的になります。知識の足りない領域を補ってくれます。医療、創薬、サプライチェーンの最適化、カスタマーサポートなど、思いつく限りほぼあらゆる分野で大きな可能性を秘めています。技術的な画力がなくても、画像や映像を際限なく生成し調整でき、まもなく音声と音楽もそれに続くでしょう。メール、日程調整、買い物といった多くの仕事をこなしてくれる自分専用のAIエージェントを、私たちは享受することになります。自分だけのAIを持つ時代へ向かっているのです。
もっとも、ここでの「A」はArtificial(人工)ではありません。Augmented(拡張された)、Assisted(支援された)、Amplified(増幅された)知性です。

その一方で、私たちはAIが自分たちに対してすることを憎んでもいます。仕事を奪うでしょう。偽情報、フェイクニュース、偽サイトを拡散するでしょう。SNSやネット通販が私たちの習慣を追跡し、精密で極めて効果的な広告をつくるのを助けるでしょう。プライバシーを奪うでしょう。いまスマートフォンに依存しているのと同じくらい、AIに依存することになるでしょう。ハッキングを容易にし、サイバーセキュリティの脅威になるでしょう。そして、いずれ人類を滅ぼしかねないと考える人までいます。

さらに厄介なのは、こうした影響の一部がすぐには表面化せず、後になって現れること、あるいはもっと悪いことに、私たちがそれに気づきさえしない可能性があることです。SNSで友人とつながれることは好きなのに、1時間の暗いスクロールがもたらす影響には、気づかないまま蝕まれています。顔認証で素早く画面ロックを解けるのは快適ですが、政府がそれを社会信用の追跡に使い出せば嫌悪するでしょう。世界中とつながったサプライチェーンのおかげで欲しいものが数日で届くのは有難いのに、遠い国の戦争や国境を封じる感染症のせいで価格が上がったり供給が止まったりすれば腹を立てます。

前に進むには、この二つの極のあいだで振れる幅を小さくし、リスクと便益のちょうど良い釣り合いを見つける必要があります。そしてそのために、私たち一人ひとりが、仕事の中で、会社で、地域で、そして制度の中で果たすべき役割を持っています。良い選択はできます。孫の世代が実を味わう木の種を蒔くこともできます。完成を自分の目で見ることのない大聖堂の、最初の一石になることもできるのです。

今週のニュース:

  1. まだご覧になっていなければ、新しいラスベガスのSphereの驚くべき映像をぜひ。数字が桁外れです。
    予算23億ドル、LEDの総面積54,000平方メートル、幅157メートル、高さ111メートル。着席17,600人、立ち見を含めれば20,000人を収容します。画期的な音響システム、温度制御、風の演出まで。
    こけら落としは9月、U2の公演です。
    現実離れした光景です。まるでブレードランナー。
  2. 関連して、Sphereは足を運べる人には素晴らしいものですが、行けない人はどうでしょうか。今後ますます見かけるようになるのが、拡張ライブ配信です。コンサートの映像表現を補強し、より没入感のある体験に仕立てます。たとえばこのMXR Concert Toolをご覧ください。有望に見えます。
  3. 農業の人手不足に対応するため、Tevelという企業がりんごを収穫できるドローンを開発しています。労働の自動化へ向けた、また一歩です。未来はますます速く迫ってきていますが、私たちの準備は整っていません。

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。

  1. まず、ヘッドセットとコントローラーだけから全身アバターの動きを再構成する新技術についてのMetaの動画を分析します。仮想体験に一段深い没入をもたらす、非常に有望な技術です。ただし自分自身を見下ろす自己アバターの場合は、精度が相当高くなければなりません。わずかなずれでも強い違和感を生むからです。
  2. 続いてApple Vision Proの制約について議論します。VRで自由に動き回れる範囲は、開始地点から1.5メートルほどにとどまるようです。自宅での体験なら問題ないかもしれませんが、この端末でつくれるVR体験の幅は大きく狭まります。
    ただし重要な注記があります。これはARには当てはまりません。発表以降、AppleがVRを脇に置いて「空間コンピューティング」に集中しているのは明らかなので筋は通っているのですが、それでも気にはなります。
  3. あのAR単眼デバイスの市場性については、疑問を述べました。片目だけで、トラッキングの類は一切なく、目の前に情報を出すだけの単純な「アシステッドリアリティ」にとどまります。
  4. 最後に、OculusのVRヘッドセット創業者(現在はMeta傘下)への長時間インタビューから、いくつか論点を拾います。全体としてMetaの戦略についての見解が非常に興味深く、利用者のコミュニティを築くことこそ最も重要だという点で、私たちも同意見です。ぜひご覧ください。

下のポッドキャストをご覧ください。毎週火曜UTC10時にTwitchで配信、アーカイブはYoutubeでご覧いただけます。

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