Robloxとメタバースの本命 - Digital Explorers' Diary #54

Digital Explorers' Diary #54

Digital Explorers' Diary #54へようこそ。

インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

今回の要点:

  • メタバースの明るい未来
  • NintendoのVRヘッドセット
  • MetaのAIによるプライバシー保護
  • そしてARとEコマースに関する興味深い数字

「メタバース」型バーチャルワールド・プラットフォームの明るい未来

先週、サンフランシスコで年次のRoblox Developer Conferenceが開催されました。SpatialVRChatZepetoなどと並んでRobloxが、ブランド・産業・ソーシャル企業が検討すべき新しいユーザーエンゲージメントのチャネルであり、クリエイターエコノミーにとっての新たな機会でもあると私が考える理由を、あらためてお話しするのにうってつけの機会です。

簡単に言えば、これらは理論上、誰もがバーチャルワールドをつくり、誰もが好みのプラットフォームからそこにアクセスできる場です。20年前にSecond Lifeが切り開いたこれらのバーチャルワールドは、メタバースに最も近い存在です。

当初はソーシャルやゲームのプラットフォームとして設計されましたが、その成功、アクセスのしやすさ、扱いやすさによって、仕事、買い物、交流、遊びが違和感なく共存する多目的な環境へと少しずつ姿を変えつつあります。しかも、これはまだ序章にすぎません。

基調講演でRobloxのCEOは、今後5年間についての10の予測を示しました。それを一つずつ見ながら、行間を読み解いていきましょう。あわせて、それぞれについてManifoldに予測市場を立てました。まだ1日しか経っていないので、数字は話半分に受け取ってください。

  1. Robloxのデベロッパーが10億ドルの評価額に達する(32%
  2. ミュージシャンが、モーションキャプチャーにスマートフォンを使って、Roblox上で100万人以上に向けたライブを行う(59%
  3. リアルのファッション業界での経験がまったくないトップデザイナーが、Robloxから見出される(31%
  4. Robloxが家族との日常的なコミュニケーション手段になる(55%
  5. 一部のRobloxクリエイターが、バーチャルグッズよりもRoblox経由で売るフィジカルグッズで多くの収益を上げる(34%
  6. 共通の「礼節指標」が公開され、ほとんどのプレイヤーでそれが時間とともに向上していることが示される(63%
  7. Robloxの社員が、リモート会議にビデオ通話よりもRobloxを使う時間のほうが長くなる(56%
  8. 17歳以上の本人確認済みユーザー向けの17+体験において、数千人の大人がRobloxのマッチング体験で初めて出会い、その後リアルでの関係に発展する(42%
  9. ある学校が、他国の学校との語学の授業やバーチャル社会科見学を含め、幼稚園から高校までの全課程をRobloxに統合する(24%
  10. Fortune 500企業が、採用プロセスの一部にRoblox体験を用いる(14%

これらの予測が見事なのは、こうしたバーチャルワールド・プラットフォームが将来何になり得るのかを、360度の視点で捉えている点です。詳しく見ていきましょう。

  • カルチャー: 音楽、アート、ファッションはすでにこうした体験の大きな柱であり、デジタルギャラリーやライブイベントを含め、検討すべき新しい発信チャネルになっています。(予測2、3)
  • クリエイターエコノミー: これらのプラットフォームの多くは、クリエイターがペイウォールやNFTを組み込み、自らの制作物から収益を得られる仕組みをすでに備えています。(予測1、2、3、5)
  • ソーシャルプラットフォーム: 年齢確認付きのバーチャルデート、ビデオチャット、友人との集まり、興味関心でつながるミートアップなど。(予測4、7、8)
  • 仕事と産業: これらのプラットフォームは、チームミーティング、チームビルディング、オンラインイベント、共同作業に活用されていきます。(予測7、10)
  • 教育: 遠隔を前提に設計されたこれらの体験は、どこからでもアクセスできるインタラクティブな学習の場となり、ブロックチェーンによる習熟度評価の証明も伴うようになります。(予測9)
  • ブランド: 主要ブランドの多くがメタバース上に拠点を持ち、そこはブランドエンゲージメント、製品発表、ユーザー調査などのための新しいコミュニケーションチャネルになります。(予測3)
  • 安全性とインクルージョン: セキュリティと本人確認の強化により、これらのプラットフォームは安全な場所になり得ます。そこでは没入感が礼節、包摂、非暴力を後押しし、現在のソーシャルネットワークにある有害さから距離を置けます。(予測6)

とても有望に見えます。こうした世界をつくるのは高くつくのでは、と思われるかもしれません。実際には、これらの空間の多くは独自の制作ツールを備えているか、主要なゲームエンジンの一つであるUnityに対応しています。さらに、制作プロセスを助ける生成AIの存在も忘れてはいけません。RobloxはAI搭載のエディターを発表し、その先陣を切っています。

さて、このすばらしい世界に飛び込む準備はできましたか。ぜひお話ししましょう。

今週のニュース:

  1. ゲーム大手のNintendoがVRヘッドセットを開発中と噂されています。ハードウェア面でGoogleと協業する可能性が取り沙汰されている以外、分かっていることはありません。もし本当なら、同社への期待は高いでしょう。PlayStation VRで芳しい結果を出せずにいるSonyに対し、Nintendoは成功できるでしょうか。据置機と同じように、品質面で妥協してでも使いやすさを優先するのでしょうか。
    mixed-news
  2. ARが手軽になり、導入しやすくなるにつれて、興味深い数字が数多く出てきています。
    Amazon Fashionはバーチャル試着サービスに関する調査を実施し、ユーザーの90%が「バーチャル試着体験は使いやすく、購入の判断に役立つ」と回答しました。
    Bloomingdale'sは150周年記念カタログにARを採用し、「購入への転換率が22%向上し、エンゲージメント率は38%向上した」という結果につながりました。
    Amazon Fashion
  3. 公共空間で映像を配信するカメラが増え、スマートグラスの登場も間近に迫るなか、プライバシー保護への懸念の声が高まっています。これに対し、Metaは顔やその他の個人情報をリアルタイムでぼかすAIモデルを開発中です。興味深い取り組みですが、実際にどう使われるのかが気になります。すべての配信機器でデフォルトで有効にすべきなのか、それともユーザーの判断に委ねるべきなのか。技術は存在するのに、それを操る人間が使わないかもしれない。ここでもまた、そういう状況です。
    Edward Miller on Linkedin

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。

  1. まずはMedical Realitiesが開発したVR研修ソリューションの動画レビューから。これまで見てきたなかで最も完成度が高く、機能も充実したソリューションです。唯一気になったのは、描画品質がやや低く見える点で、これが普及の妨げになるかもしれません。それでも、非常に有望なユースケースです。
    Medical Realities
  2. 続いて、Metaから届いた数々のニュースを掘り下げます。革新的な取り組みや心躍るデモは数多くありますが、より整理され練られたコミュニケーション戦略のほうが市場のためになる、という見方は変わりません。不確かな点があまりに多く、業界は今、この先どうなるのかについての明確さを求めています。
    机を叩くのは、バーチャルキーボードを再現する良い方法なのでしょうか。Metaはそう考えているようで、このデモとCTOとザッカーバーグの対決を公開しています。私たちの第一印象としては、硬い面を何時間も叩き続けるのは指にかなりの負担がかかりそうです。
    Mashable
    Meta Avatar SDKで、ついに脚が使えるようになりました。当初は、脚のトラッキングが完全に機能するようになるまでは、不正確な脚はユーザーに敬遠されると主張していましたが、その姿勢を撤回した形です。VRで下を向いたときにアバターの動きが実際の体の動きと一致しないと違和感はありますが、ほとんどのユーザーにとって致命的ではありません。
    Upload VR
    先月のSiggraphで公開されたFlameraのプロトタイプは、現行のパススルー型ヘッドセットすべてに生じる歪みを解消しようとする試みです。カメラは目とまったく同じ位置には置けないため、映像をソフトウェアで補正する必要があり、それが歪みを生みます。Flameraでは、レンズと絞りのアレイを用いてこの問題を解決しました。ただし製造が難しく、マス市場向けにはソフトウェアとハードウェアを組み合わせたハイブリッドな解決策が採られることになりそうです。
    mixed-news
    Quest 3の発売は1か月ほど先に迫っていますが、情報がほとんど出てこないのが不思議です。数週間後に開催されるMeta Connectで、すべてが明かされるというのが私の予想です。
    Meta

下のポッドキャストをご覧ください。毎週火曜UTC10時にTwitchで配信、YoutubeSpotifyApple PodcastsGoogle PodcastsAmazonでも聴けます。

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