複合現実の戦略が必要な理由 - Digital Explorers' Diary #58

Digital Explorers' Diary #58へようこそ。
インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。
今回の要点:
- 組織にMR戦略が必要な理由。
- Snapchatがルーヴル美術館と組み、現地での体験を提供。
- Z世代は仮想プラットフォームをどう使っているのか。
- そしてAIによる3Dオブジェクト生成。
組織にMR戦略が必要な理由
注記: 以下の記事は、「あらゆる組織にARの戦略が必要な理由」と題されたこの記事から着想を得て、その上に組み立てたものです。
Apple Vision Proの発表と、先日のMeta Quest 3の発売以降、これらの技術の呼び方をめぐる議論を数多く目にしてきました。空間コンピューティング、AR、MR。これらは何を意味するのか。まずそこを整理し、そのうえで、組織がこれらの技術を戦略に組み込むにあたってどう考えるべきかを見ていきましょう。
空間コンピューティングを除けば、これらの用語は新しいものではありません。業界で最もよく知られたMRの定義は、実に1999年にさかのぼります。ポール・ミルグラムが、下に掲げた有名な図を発表した年です。
ミルグラムは実に巧みに、これらの技術が切り離されたものではなく、完全な現実環境から完全な仮想環境へと続く連続体の上に位置することを示しました。その途中に、スマートグラス、スマートフォンでのAR、ヘッドセットでのAR、ヘッドセットでのVRなどを置けます。彼はこの連続体をミクストリアリティ(MR)と呼びました。理にかなっています。どの段階においても、MRの体験は現実と仮想の世界を混ぜ合わせているのです。
さて。ではなぜ、これらの技術が組織の戦略にとってそれほど重要なのでしょうか。分かりやすいのは、この根本的な力から出発することです。MRは、見ることのできないものを人間が模擬し、体験し、リアルタイムで関わることを可能にします。しばらく味わってみてください。
MRのもう一つの本質的な力は、身体を伴うことです。多くの場合、立ち上がり、動き回り、手を使い、あるいは外へ出ることになります。身体そのものを体験に組み込むことが、以下に挙げるすべての用途において効き目を生みます。
そこから先は、よく言われるとおり「限界は想像力だけ」です。以下の各項目はそれぞれ連載記事にできるほどの内容で、ここでは表面をなぞるにとどめます。
- 研修。受講者の行動に反応する仮想環境を模擬できるため、MRは研修にうってつけの媒体です。高価な資材を要する手順、危険な手順、あるいはめったに起きない手順を、何百回でも結果を恐れずに体験できます。費用、受講者の自信、研修の効率という点で、得られるものは相当なものです。
- 複雑な作業の支援。MRは難易度の高い作業を支えるため、産業界で広く使われています。隠れた要素についての視覚的な情報を与える、データをリアルタイムに重ねる、実物に取りかかる前に仮想で何度も試す。ここでもやはり、費用、性能、安全性の面で大きな成果が伴います。
- ゲーム。あらゆるゲームは模擬であるため、MRはゲームにとって優れた媒体です。押さえておきたい3つの要素は、体験に身体が伴うこと、仮想空間の中で遊べること、そして屋内でも屋外でも、仮想と現実の相互作用そのもので遊べることです。
- エンターテインメント。好きなアーティストの地元公演を見逃しましたか。あるいはツアーがそもそも自国に来ないのかもしれません。MRの技術を取り入れれば、アーティストは誰とでも、どこにいても、双方向のライブイベントを開けます。映画の一部になり、俳優の目を通して世界を見て、展開に影響を与えたいと思ったことはありませんか。まだ実現していませんが、MRでは近いうちに来るでしょう。
- 交流。関連して、仮想世界を用いたソーシャルプラットフォームの台頭は、Z世代に絶大な人気を誇ります。自分の世界を築き、一緒に遊び、関わり、語り合えるからです。そしてブランドは、自分たちの観客がいるその場所に出ています。
- アート、文化、観光。実に多くの要因が絡んでいます。コロナ後の状況、航空運賃の上昇、高まる環境意識、そして文化産業のさまざまな変化。MRはこれらに多くの答えを持っています。仮想的な情報を重ねて博物館や史跡の見学を豊かにする、遠隔から作品や場所を味わう、過去の出来事を追体験する、といったことです。
さらに良いのは、これらの領域がMRの中では容易に融け合うことです。研修の上に丁寧に設計されたゲームを重ねれば、関与と達成率を高めるゲーミフィケーションが生まれます。文化は一人で味わうものとは限りません。社会的な体験に溶け込ませれば、忘れられない記憶になります。
MRはあらゆることに効く、万能で完璧な解でしょうか。もちろん違います。生成AIをめぐる今の熱狂と同じく、没入技術は新しい業種になるのではありません。事業に当てはめるための新しい道具です。ただし、意味がある場合に限ります。いつも通り、そして必要なだけ何度でも繰り返しますが、技術から始めないこと。問題から始めてください。何を解こうとしているのか。何が必要なのか。
いつものように、この進め方について私と一緒に考えたい方は、こちらまたはLinkedInからご連絡ください。
今週のニュース:
- パリのルーヴル美術館が、AR体験についてSnapchatと協業しました。
文化産業がこうしたプラットフォームを取り入れているのは喜ばしいことです。ミレニアル世代の目には違って映るかもしれませんが、Z世代にとっては生活のいたるところにあるものだからです。
また、4つの体験は現地での施策ですが、そのうち一つは誰でもどこからでも利用できます。これはMR技術の理想的な使い方です。Snapchat - 3Dオブジェクトは、あらゆる仮想世界の中核です。これまではそれをつくるのに技術的な知識が必要でしたが、2Dのアートと同じく生成AIのおかげで、まもなく誰でもつくれるようになります。こうした道具がRobloxやThe Sandboxのようなソーシャルプラットフォームと組み合わされれば、誰もが自分の世界を築いて人を集められる、新しいクリエイターエコノミーの台頭が見られるでしょう。
最も有望なのはLuma.aiのGenieです。この種のものを数多く試してきましたが、始めから終わりまでしっかり機能するのはこれが初めてです。
ほかには3DFY.ai、MasterpieceX、DeepMotion、Anything Worldなどがあります。
Luma.ai - 数週間前、「ゲームは未来のソーシャルネットワークである」という一文を掲げた興味深い調査が公開されました。Z世代がRoblox、RecRoom、Fortniteのようなプラットフォームでいかに活発であり、ブランドがどれほど素早くそこへ乗り込んでいるかを示しています。そう、ソーシャルネットワークは2Dにとどまりません。人々が集まって何かを同時に一緒に体験する、3Dの環境へ移っていきます。
GEEIQ
ポッドキャストから
毎週、Guillaume BrincinとSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。
- VRでの会議は、通常の通話より優れているのでしょうか。この研究がこのテーマを扱っており、興味深い結論を出しています。確かに、コミュニケーションの改善、距離の近さの感覚、居心地の良さなど、多くの指標はVRに有利でした。しかし同時に、疲労の増加も示されています。いくつかの要因が絡んでいるのかもしれません。VRに慣れる必要性、体験そのものの設計、あるいはヘッドセット自体です。
PWC - XRealが最新世代のARグラス、air²を発表しました。装着感が良く、見た目も洒落ているのですが、私たちの懸念は実際の用途にあります。映画鑑賞を除けば、狭い視野角と現実空間のトラッキングの不在により、彼らが謳う「すべての画面の置き換え」となるのは難しいでしょう。
XReal - 最後に、VRが脳を欺く力の強さについて話しました。この記事は、研究チームが冷たさの感覚を生み出すことに成功した経緯を説明しています。ほかにもさまざまな仕掛けを紹介しました。人を円を描いて歩かせているのに直進しているように感じさせる方法や、触覚を使ってエレベーターで上昇しているような感覚を生む方法などです。
Midjourneyで生成。
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