「イマーシブ」の本当の意味 - Digital Explorers' Diary #66

Insights on Immersive Experiences - Digital Explorers' Diary #66

Digital Explorers' Diaryへようこそ。インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

没入体験から見えてきたこと

2024年、「没入型」という言葉はいたるところで使われ、用いる媒体を問わず、実に幅広い体験を指す言葉になっています。

「ロケーションベースエンターテインメント」とも呼ばれる没入体験とは何であり、来場者はそれをどう受け止めているのでしょうか。見ていきましょう。

流行語の常として、「没入型」はさまざまに解釈され、多くの用途に無理なく当てはまります。たとえば、スマートフォンに没頭している人を思い浮かべてください。たいていの場合、その人の注意は画面だけに向いており、小さな長方形のピクセルの外にあるものは目に入っていません。ある意味で、深い没入状態にあるわけです。時間はあっという間に過ぎます。現実に戻ったとき、気づかぬうちに20分が経っていたと知って、はっとした経験がおそらくあるはずです。

この基準で、優れた没入体験を定義できるでしょうか。参加者の注意を完全に奪い、時間の流れが速く感じられる別の次元へ連れて行くべきなのでしょうか。「没入型」は「インタラクティブ」も意味すべきなのでしょうか。

幸い、示唆を引き出せるデータがあります。Immersive Experience Networkが英国で2,000人以上から集めたものです。彼らの発見をいくつか紹介します。例によって、一国のみのデータである点は差し引いてお読みください。

来場者は何を求めているのか

この問いは決定的です。その答えが、魅力ある体験をどう設計すべきかを教えてくれるからです。彼らが求めているのは次のことです。

  • ただの観客ではなく、その場の一部でありたい。「見ているだけの人」から抜け出したい。
  • 楽しみたい。ゲームやクイズ、解くべき謎とともに。
  • 感情と五感を伴って関わりたい。
  • 友人や家族、子どもと体験を分かち合いたい。
  • 支払った額に見合う価値がほしい。とりわけ現在の経済状況では、これは依然として非常に重要な点です。

要するに来場者が求めているのは、集団で楽しめて、感情的にも身体的にも知的にも関与させてくれる体験なのです。

来場者は一様ではない

この調査で最も示唆に富む発見の一つが、利用者を3つのタイプに分類したことです。

  • 足を浸すだけの人: 積極的に関わるより、眺めるほうを好みます。
  • 浅瀬を歩く人: その中間で、もう少し踏み込みますが、深入りはしません。
  • 泳ぐ人: とことん入り込むタイプで、物語のあらゆる筋を追いたがります。

没入体験は集団で楽しまれることが多いため、当然この3タイプが混在します。設計時にはそれを織り込む必要があります。たとえば、参加するのに全員が衣装を着なければならないとすれば、おそらく「泳ぐ人」しか参加したがらないでしょう。

体験の種類

なお、これらの分類は必ずしも排他的ではありません。たとえば脱出ゲームや没入型アートの中には、ARやVRを用いるものもあります。

  • 脱出ゲーム: 最もよく知られた没入体験の形です。
  • 没入型・体験型アート: ゴッホteamLabのような展示によって広まったもので、多くは大きな暗室にプロジェクターを配して構成されます。
  • テーマ型アトラクション: ジャンルも関与の深さもさまざまで、テーマパーク全般にも、東京のハリー・ポッターの施設のようなより特化した場にも当てはまります。
  • 没入型シアター: テーマパークでもよく見かけ、人気の高い形式です。座席が動き、風が吹き、香りが漂い、3Dメガネをかける、いわゆる「4D」映画がこれにあたります。Hershey's Great Candyのように、インタラクティブな小道具や物語を組み込んでさらに踏み込むこともできます。
  • ホラー系の部屋: 昔ながらの「驚かせる」手法はいまも有効ですが、今日では生身の役者、モーションセンサー、スクリーン、投影などが用いられます。
  • AR/VR: この定義には幅広い体験が収まります。Evaのように友人と楽しむVRゲームから、RevivreNoireのような文化的で社会性のある体験まで。

なぜAR/VRが適しているのか

ここまでの知見を踏まえると、インタラクティブ技術(AR、VR、MR)は没入体験に非常によく適していることが分かります。以下では簡潔さのため、これらの技術を総称して「XR」と呼びます。

柔軟性

  • XRは既存の空間を作り変えることも、同じ場所にいながら来場者を完全な仮想環境へ連れて行くこともでき、しかも巨額の造作費用を必要としません。
  • 物語は、純粋な物理的インスタレーションよりもはるかに容易に、変化させ、作り変え、更新できます。

来場者との相性

  • 協力型のVRゲームでも、MRを用いたグループでの見学でも、これらの技術は物理的なつながりとデジタルな体験を同時に成り立たせます。
  • 正しく設計すれば、あらゆるタイプの来場者に対応できます。たとえば「泳ぐ人」はヘッドセットを装着して深く入り込み、「足を浸すだけの人」はタブレットや自分のスマートフォンから友人を手助けする形で、脇から参加できます。

これからどうするか

この調査は、どうすれば没入体験があらゆる利用者にとって魅力的になるのかについて、価値ある示唆を与えてくれます。次のプロジェクトのチェックリストとして活用してください。

こうした体験をご自身の事業に取り入れることを検討されていますか。こちらまたはLinkedInからご連絡いただければ、一緒に考えましょう。

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