イノベーションを追い続ける方法 - Tech Insiders News, 2023年5月

Digital Explorers' Diary #36へようこそ。
インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。
動きを追い続ける: 地図は土地そのものではない
これは、イノベーションの動きを追い続けるための連載の第1回です。
圧倒されませんか。毎日のようにAIの新しい進展が現れます。メタバースは死んだのか。Appleの新しいヘッドセットは、iPhoneのように業界を一変させるのか。
一日中LinkedInやTwitterを眺めることなく、イノベーションの動きを追い続けるにはどうすればよいのでしょうか。
自分の事業にとって正しい判断を下すために、何に注意を払うべきなのでしょうか。
ここで役に立つのが「地図は土地そのものではない」という考え方です。要するに、現実を眺める方法は数多くあるが、そのどれ一つとして現実を完全に表しきるほど網羅的でも詳細でもないということです。Googleマップをお使いでしょうか。地図表示は道順に便利で、衛星表示は探索に向いていますが、どちらも地球の完全で正確な写しではありません。
私が言いたいのはこうです。地図(ニュース、投稿、話題)を、現実(実際のイノベーション)と取り違えないこと。
この一か月にAIを使ったサービスが何千と現れたからといって、すべてを投げ出して自分でもつくるべきだということにはなりません。
2023年にVRが成熟したからといって、それが適した媒体かを確かめもせずに、次の案件で必ず使うべきだということにもなりません。
では、どうすればよいのでしょうか。いくつか助言を挙げます。
- 取り残される不安(FOMO)を受け入れること。あなたはすでに多忙で、すべてのニュースを読むことはできません。それでよいのです。心配は要りません。大切なのは流れであって、細部ではありません。
- 斥候の心構えを持つこと(Julia Galefによる概念と著書)。好奇心、偏りのない真実の探求、そして高い視点を使えば、正しい判断ができます。既存の信念を守るために動機づけられた推論を用いる「兵士の心構え」とは対照的です。
- 情報源を点検すること。狭い範囲の見方からしかニュースを得ていないのではありませんか。異なる意見を持つ論者をフォローして、視野を広げましょう。
- 自分の偏りを評価すること。確証バイアスの餌食になっていませんか。Twitterのアルゴリズムに任せきりにしていると、そうなりがちです。
これらは、このニュースレターとポッドキャストで用いている考え方であり、より広くは、Gimbal Cubeのチームがみなさんと仕事をするときの姿勢でもあります。
共感いただき、さらに掘り下げたいと思われたら、ぜひご連絡ください。
今週のニュース:
- 想像してみてください。Instagramでお気に入りのインフルエンサーの投稿が目に入ります。ポルトガルを訪れている彼女は、素敵な靴を履いています。
リンクを押して靴を見て、ARで試着し、写真を友人に送って意見を聞き、そのまま購入できます。
彼女がいるレストランへのリンクもあります。シェフがメニューを説明するテラスの360°映像を体験できます。おいしそうなので、5%のクーポンとともに保存しておきます。
若い顧客が求めているのはこれです。そしてブランドはこの新しい「没入型ソーシャルコマース」を取り入れるべきだ、とMagna Media Trialsの調査は述べています。
従来の購買の流れでは、どこかで気に入った商品を見かけたら、自分でネットを検索し、ブランドのサイトを開き、ようやく購入に至ります。ソーシャルコマースはその代わりに、友人の投稿や推薦、広告、インフルエンサーから始まり、商品へ直接つながるリンクがあります。
これは道のりを短くするだけでなく、利用者が購入に至りやすくなるため、ブランドにとっても効率的です。
そこにARを重ねれば、ブランドは店頭で買い物をする高揚感をEコマースに持ち込めます。とりわけ共有の要素があればなおさらです。
注記: この調査はSnapchatが後援しているので、利害関係があります。また大半は実データではなく意見に基づいています。さらに、米国、英国、ドイツはおおむね平均をやや上回る程度で、サウジアラビアが全体の数字を押し上げているようです。理由が気になるところです。
それでも、上記の結論には同意します。
出典: Magna Media Trials - Eコマースに関するそのほかの注目すべき動き。
GoogleでIkeaの商品名を検索すると、そのままARで試せるようになりました。素晴らしい取り組みで、ブランドはもっとこの流れに続くべきです。ただ、商品名を正確に打ち込む必要があるため、最良の導線かどうかは疑問も残ります。Ikeaの商品名は、なかなか手強いですから。EコマースでARを使ううえで最も難しいのはサイズ合わせです。技術的に非常に厄介で、とりわけ衣類ではそうです。Zalandoがジーンズ向けのバーチャル試着室で解こうとしているのが、まさにこの問題です。
これで膨大な返品は減るのでしょうか。
出典: Zalando - AIによって、いまや誰の声でも楽曲を生成するのは容易になり、「偽物」が数多く現れています。反応の仕方は一つには、止めようとし、規制を設けることです。もう一つの道もあり、カナダのアーティストGrimesはそれを選びました。自分の声を使ったAI生成曲がヒットした場合、印税を50対50で分け合うと表明したのです。
裏は取れていませんが、スマートコントラクトで印税処理を自動化するブロックチェーン基盤の仕組みも検討していると読みました。もし本当なら、実に賢明な判断です。
ポッドキャストから
毎週、Guillaume BrincinとSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。
- If Seen Then That: 先週触れた記事を掘り下げます。ARグラスを通じて現実世界とどう関われるかを示す、oio.landによる実験です。全員が非常に興味深いと感じており、ARとモノのインターネットの融合が素晴らしい機会を生むことを期待しています。
- SnapchatのAR小売: 先週説明したとおり、Snapchatが小売市場に参入します。収益モデルがソフトウェアのみなのか、ハードウェアも含むのかが気になるところで、本当に効果を出すには店舗の在庫と連携すべきだと考えています。
- 続いてMetavisiについて話しました。幅広いハードウェアを取り揃えているように見える企業ですが、私たちの誰も実機の検証を見たことがありません。「できるまでできるふりをする」企業なのか、それとも大きな可能性を秘めているのでしょうか。