誤解を招く統計を見抜く - Tech Insiders News, 2023年5月

Digital Explorers' Diary #37へようこそ。
インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。
動きを追い続ける: 人はたやすく欺かれる
これは、イノベーションの動きを追い続けるための連載の第2回です。第1回はこちら。
さて、あなたは多様な意見と視点を持つ、少数の情報源を選び終えました。動きを追う準備は整いましたが、次の難関が待っています。「よくある、統計を装った誤解を招く疑似研究レポート」に引っかからないことです。
利用者の高い割合がAR体験を求めているとか、XR市場は2025年に数十億ドル規模になるといった記事を見れば、つい心が躍ります。
しかし現実はしばしば異なります。そしてその帰結は、世界の見方が歪むだけにとどまりません。こうした誤った指標をもとに事業が立ち上がり、判断が下され、投資が実行され、想定よりはるかに小さな市場に直面して、資金と人材が浪費されるのです。批判的に考えるための道具をいくつか見ていきましょう。例としてこの資料のスクリーンショットを使います。Snapchatさん、ごめんなさい。
まず警戒すべき手がかりの一つは、話がうますぎると感じたときです。自分の中の引っかかりに気づくことは常に役立ちます。注意を向けさえすれば、私たちの頭は思っているよりずっと鋭いものです。疑問を感じたら、掘り下げてください。
次に、お金の流れを追うこと。この数字とこの結論で、誰が得をするのか。陰謀論めいて聞こえるかもしれませんが、残念ながら実際にそうである場合もあります。結果そのものがそれ自体として虚偽でなくとも、数字が肯定的な結論へ向けて曲げられていることがあるのです。
スポンサー一覧にあるあのアイコンにお気づきでしょうか。Snapchatです。ソーシャルコマースに好意的な調査結果は、彼らの利益になるでしょうか。答えはお任せします。
さらに、意見から結論を導いているのか、実際のデータから導いているのか。主張していることを、本当に測定したのでしょうか。たとえば下のスクリーンショットの質問をご覧ください。「今後SNSのプラットフォームが以下の買い物機能を提供した場合、あなたはそれを利用する可能性がどの程度ありますか。」
これは、実際にオンラインで買い物をしている様子を観察し、ARが使えるページを無作為に割り当てる研究とは、まったく異なる結果をもたらします。
利用者はARを使うつもりだと答えても、いざページを前にすると使わないかもしれません。
また、確からしさを表す言葉の受け取り方は人によって大きく異なります。下の図をご覧ください。「ありそうだ」という語の意味は、人によって50%から90%まで幅があるのです。
そしてお決まりの統計の乱用が続きます。百分率は非常に誤解を招きやすいのです。たとえば、ARの活用が「広告キャンペーンの効果を50%高める」と謳う記事があるとします。
さっと読めば、目覚ましい数字に思えるでしょう。しかし肝心な点が抜けています。もとの効果はどれほどなのか。それがわずか5%なら、全体の効果は7.5%です。良い結果ではありますが、思ったほど劇的ではないのではないでしょうか。
本日はこのあたりで。もちろん、この話題にはまだ続きがあります。いつものように、さらに掘り下げたい方はご連絡ください。ご意見もコメントでお寄せください。
今週のニュース:
- MetaがReels広告とFacebookのストーリーズにAR機能を追加します。Snapchatの記事を読んだのかもしれません。ともあれ、SNS各社がブランドの広告費を奪い合うなか、Metaにとっては賢い一手です。ご自身のブランドで使ってみたいと思われますか。
セフォラがこの機能のベータテスターの一社でした。 - AIにおけるデータ汚染という問題をご存じでしょうか。学習データに偏った要素を意図的に紛れ込ませることで、悪意ある者がAIモデルの出力を歪め、深刻な結果を招き得るのです。それが引き起こしかねない地政学上の問題を想像してみてください。生成AIが当たり前の存在になりつつあるいまだからこそ、指数関数的な拡大よりも、安全性、規制、そして現実的な整理にこそ、はるかに多くの時間を割く必要があります。
- 仮想技術の先進的な活用で知られるバンドGorillazが、コーチェラ・フェスティバルで「YouTubeのAR体験」を初披露しました。
噛み砕いて説明すると、カメラ映像の上に3Dアニメーションを重ね、その映像をYouTubeへ生配信した、ということです。
この技術自体は目新しいものではありません。私たちは14年前から同じことをやっていました。とはいえ、エンターテインメント業界がこれほどの規模で採り入れているのを見るのは喜ばしいことです。
下でお楽しみください。 - Appleのヘッドセットは来月初めに発表されると見られており、あらゆるところで憶測が飛び交っています。私が目にした流れの一つが、健康とフィットネスの体験に重点が置かれるというもので、AppleがAIを用いたコーチを開発中という噂もそれを裏づけています。
私の見方はこうです。どんな体験を想定しているのかは分かりませんが、一つ言えるのは、重いヘッドセットを装着し、腰にバッテリーを付けて運動するのは、あまり良い体験ではなさそうだということです。どうなるでしょうか、Apple。ぜひ私の予想を裏切ってください。
ポッドキャストから
毎週、Guillaume BrincinとSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週の内容は次のとおりです。
- 先週触れたソーシャルコマースにおけるARの資料を掘り下げます。調査手法に踏み込み、結果に疑問を投げかけました。今回の記事は、この議論から生まれたものです。
- Metaが仮想世界Horizonsの利用可能年齢を13歳に引き下げました。この種のプラットフォームでは監視が難しいため、二人とも懸念しています。メタバースを子どもにとって、いや誰にとっても安全な場所にするには、どうすればよいのでしょうか。YouTube Kidsのような子ども専用版を設けるべきなのか。プライバシーと自由を保ちながら、身元と年齢をどう確認するのか。