XRの二極化、6か月後

The XR Split, 6 Months Later

6か月前、私はXR業界が二つに分かれつつあると書きました。ヘッドセットにとっての「VRの冬」と、グラスにとっての「ARの伸長」です。2026年も折り返しに入り、数字は出そろいました。ただ、行動に移せる像を掴むには細かい部分まで読む必要があります。さっそく見ていきましょう。

スコアボード

2025年、XRデバイスの出荷は44%増加しました。その伸びのほぼすべてがグラスによるものです。同じ期間、VRヘッドセットの出荷は14%減少しました。一方のカテゴリーが市場全体を押し上げ、もう一方は静かに縮んでいる。ここまでは、私が想定したとおりの分岐です。

とはいえ、ご存じのとおり、私は必ずもう一段掘り下げます。

「スマートグラス」は、実のところ3つの別々の製品

レポートが「スマートグラスは急成長」と言うとき、それは実際どのグラスを指しているのでしょうか。その一つの数字の中には、性格の大きく異なる3種類が混ざっており、その差は決定的です。

  1. ディスプレイのないAIグラス。Ray-Ban Metaのように、ごく普通に見えるフレームにカメラ、耳をふさがないオーディオ、AIアシスタントを備えたもの。ディスプレイもARもありません。これこそが本当の成長エンジンです。IDCは、こうしたディスプレイなしのグラスが2026年に約1,360万台出荷されると予測しており、これは単独で最大のXRセグメントです。第1四半期には前年同期比167%増を記録しました。Metaだけでスマートグラス市場の約72%を占めています。
  2. 「アシステッドリアリティ」型のAR。通知、道案内、翻訳のために、ちらりと見るための小さなヘッドアップディスプレイを備えたもの。Even Realities、Virtuesなど。まだ小さな一角ですが、ここが面白い中間層であり、IDCは2027年から本格的に地歩を固めると見ています。
  3. 本物のARグラス。XrealのAuraのように、現実の中にコンテンツを配置する本格的なディスプレイを備えたもの。多くの人が「AR」と聞いて思い浮かべるのはこれですが、いまだニッチです。Xrealの市場シェアは約2%にとどまります。

だから正直に認めましょう。「ARグラス」はまだ来ていません。来たのは、顔の上のAIです。視覚的な重ね合わせの未来には、私も人並み以上に胸を躍らせていますが、それは2027年以降の話です。いま売れているのは、実際にかけたいと思えるフレームに収まったカメラとアシスタントなのです。

Appleはどうか

重心が移ったことを示す一つの手がかりが欲しければ、Appleを見てください。長らく噂されてきたAIグラスを2027年に先送りし、Vision Proを3,699ドルに値上げし、そのハードウェア開発を率いていた幹部をOpenAIに引き抜かれたばかりです。これほどの大手が遅れをとり、つくり手を失っているというのは、市場が未成熟であることの強い証左です。

XRは死んでいない。大人になったのだ。

いまや「VRは死んだ」と言われます。そんなことはありません。VRは崩れたのではなく、専門特化したのです。まさに、私が起きると述べたとおりに。

  • ロケーションベースVR(アーケード、自由に歩き回れるアリーナ、わざわざ足を運ぶアトラクション)は、2025年の約19億ドルから今年は27.6億ドルへ、そして2031年までに100億ドル超へと成長する見通しです。
  • 企業向け・研修向けのVRは、外科手術の訓練から安全教育、産業シミュレーションに至るまで、実際に測定できる成果を出し続けています。
  • さらに建築、エンジニアリング、デザイン。制御された没入環境が、ヘッドセットを装着する手間に見合う領域です。

これらが機能する理由は昔から変わりません。機材を所有するのは別の誰かで、環境は制御されており、得られるものが顔に装着する手間に見合っている。ヘッドセットはただ、毎日自宅でかけるマス向けデバイスのふりをするのをやめただけなのです。

私たちの「XR & AIトレンド」ホワイトペーパーで示した仮説は、予定どおりに進行しています。AIが頭脳、XRが身体。そしてその身体は軽くなっていきます。

打つ手は変わらない。裏づけが得られただけ。

ブランドであれば、「XR」を一つのものとして扱うのはやめましょう。それは二つあり、時間軸も予算も別々です。

  • グラスは、常時オンでAIを起点とするレイヤー。まず実用性から。今すぐ試し始めてください。今年出荷される端末が、この先3〜5年のルールを決めるからです。
  • VRは、自分たちが制御できる自前の体験のためのもの。ポップアップ、ショールーム、イベント、研修。投資対効果は実証済みです。自宅でブランドに触れてもらうために、顧客にヘッドセットを買わせようとしないこと。

そして両者を貫く糸がAIです。VRの研修モジュールであれ、グラスの中のアシスタントであれ、それを単に没入的なだけでなく賢いものにするのはAIです。

XR業界は死につつあるのではありません。大人になりつつあるのです。より専門的に、そしてより役に立つ形へと。

あなたはどちら側に向けてつくっていますか。このメールに返信いただくか、LinkedInでお声がけください。ぜひお話ししましょう。

参考資料

お問い合わせ
お仕事のご依頼やお見積もりのご相談はこちらからご連絡ください。

東京、Paris、Los Angelesを拠点に世界中のブランドのサポートをしています。

イベント会場へ出張し、機器の設営、保守も大得意です。

件名
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.