「没入体験をつくっています」はバリュープロポジションではない - Digital Explorers' Diary #65

"We Build Immersive Experiences" is not a value proposition - Digital Explorers' Diary #65

Digital Explorers' Diaryへようこそ。インタラクティブ技術、AI、web3、センスメイキング、起業、心理学をめぐる、考えるきっかけになるトピックを厳選してお届けします。

「没入体験をつくっています」はバリュープロポジションではない

没入体験の分野で働いていると、バリュープロポジションが本当は何を意味するのか、掴みづらいことがあります。私たちの多くは、そもそも技術そのものに惚れ込んでいるからです。認めましょう。AR、VR、MRはそれ自体が素晴らしく、その歴史や現在の潮流、これからの進化について何時間でも語れてしまいます。

それはそれで結構なことです。私が言いたいのは、事業を「私たちは没入体験をつくっています」と定義するのは、バリュープロポジションではないということです。確かに何をしているかは説明していますが、実際にどんな成果をもたらすのかは語っていません。バリュープロポジションの言葉を練り直すことは、事業に驚くほどの効果をもたらします。

バリュープロポジションとは何か

良いバリュープロポジションを分ける決定的な違いは、少なくとも紙の上では単純です。確かに、自分たちが何者で何をしているかを語る必要はあります。しかしそれ以上に、自分たちの付加価値を極めて的確に言い表さなければなりません。私たちはどんな課題を解決するのか。顧客にとっての費用対効果は何か。

価値の高い提案を持てば、終わりのない価格交渉と受注合戦から抜け出せます。顧客との対話は、単なる取引の水準を離れ、より高い目標へと移ります。私たちは「経費」から、有効なKPIと投資対効果を伴う「投資」へと変わるのです。

没入体験のビジネスで、バリュープロポジションをどう組み立てるか

  • それは仕事内容の説明ではない。バリュープロポジションが自分たちのやっていることの説明にとどまるなら、価格以外にどんな武器が残るでしょうか。質の高い仕事をしているかもしれませんが、それを自社サイトに書いていない会社などあるでしょうか。
  • 私たちは〜である」から「私たちは〜を提供する」へ。現実を見ましょう。没入体験をつくれる会社は、いまの市場に数多く存在します。そうしたアプリケーションをつくれるというだけではもう足りません。何かをもたらす体験を開発する必要があります。客を店舗へ導くのか。研修時間を短縮するのか。商品を手にしたときの感覚を先に味わわせるのか。
  • 顧客を知る(そして顧客の顧客も)。私たちがやっていることは、多くの人の興味を引くかもしれません。しかし私たちが提供するものは、顧客に、そしておそらくその先の顧客にも響かなければなりません。この分野ではB2B2Cがごく一般的だからです。
  • 目新しいものに飛びつかない。確かに、この分野を牽引する立場として、最新の技術動向は押さえておく必要があります。しかし、誰もが技術好きや専門家というわけではありません。結局のところ、特定の案件には昔ながらの手法のほうが適していることもあり、そのときは最先端を推したい誇りと熱意を飲み込む必要があるのです。

バリュープロポジションは、しばしば一過性の流行やマニアックなものと見られがちな私たちの業界を、事業成長の原動力へと引き上げるために欠かせません。

この話をしてみたいと思われましたか。こちらまたはLinkedInからご連絡いただければ、一緒に考えましょう。

ポッドキャストから

毎週、Guillaume BrincinSébastien Spasとともに、ポッドキャストLost In Immersionをお届けしています。今週取り上げるのは次の話題です。

🧑‍🏫 教育はVRの応用先として最も有望な領域の一つですが、Metaはいま、教育者や学校、教員に向けた新しいソフトウェア提供を予告しています。教員が生徒全員の端末に同じアプリを遠隔で読み込ませられる、デバイス管理システムのようです。遠隔地でも機能するのかが気になるところ。私たちが考える最良のユースケースは遠隔授業です。学習に加えて、生徒が仲間との存在感や協働の感覚を得られるからです。

🤖 カメラのレンズ越しに見た世界を、AIはどれだけ理解できるのか。Meta Researchの最近の論文によれば、あまり得意ではないようです。ARグラスをかけた人が「鍵をどこに置いたっけ」と尋ねる場面や、ロボットに「冷蔵庫の扉を開けっぱなしにしていないか」と頼む場面を集めたデータセットとベンチマークが提示されています。GPT4Vのような視覚対応のLLMは、テキストのみのLLMをわずかに上回る程度で、人間には遠く及ばないとのこと。まだ道のりは長そうです。いつまでかかるでしょうか。

🛫 先週のLaval Virtualで、SebがMotionXPのVRシミュレーターを試す機会を得ました。従来の油圧機構に加え、胴体のベルトにフォースフィードバックを組み込んだのが彼らの工夫で、脳を錯覚させる効果は相当なもののようです。

📜 OpenXRは、すべてのXRプラットフォームに共通のソフトウェア標準を広めようという取り組みで、先週その新版が公開されました。すでに多くの大手が対応しています。これがクロスプラットフォームのアプリを増やす後押しになるでしょうか。

🎵 現在ベータ版のUdioは、驚くほど完成度の高い楽曲生成AIです。ジャンルはもちろん、歌詞まで指定できます。ぜひ一度試してみる価値があります。

下のポッドキャストをご覧ください。毎週火曜UTC10時にTwitchで配信、YoutubeSpotifyApple PodcastsGoogle PodcastsAmazonでも聴けます。

このニュースレターから何かアイデアが浮かびましたか。ご一緒できる方法はいろいろあります。

お問い合わせ
お仕事のご依頼やお見積もりのご相談はこちらからご連絡ください。

東京、Paris、Los Angelesを拠点に世界中のブランドのサポートをしています。

イベント会場へ出張し、機器の設営、保守も大得意です。

件名
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.