XRの十戒 その10 - ユーザーを気分悪くさせない

先週、インタラクティブな体験を設計する際によく挙がる指針をまとめた「XRの十戒」を書きました。これから数週間かけて、それぞれを具体例とともに解説していきます。
まずは最後から、第10の戒め「ユーザー体験をテストせよ」、ひと言でいえば「人を気分悪くさせるな」です。数週間前、Appleがメキシコで収録されたMetallicaのライブの没入型映像を公開しました。
まず技術的な前提から。これらの映像は180°、3D、8Kです。つまり、映像の中に入り込み、目の前の空間すべてが映像で覆われます。しかも3Dなので、とくに8Kの解像度では、映像の奥行きが非常に強く感じられます。
Apple Immersive Videoは圧巻で、これまで見たことのない最高水準の品質です。
しかし、スパイダーマンが言われたように「大いなる力には大いなる責任が伴う」。その責任とは、ユーザーを気づかうことですが、この30分の映像では正直まったく果たされていません。光の点滅や、モノクロとカラーの切り替えだけでも少し落ち着きませんが、最もつらかったのは、観客のクローズアップ、メンバー個々のショット、スタジアム全体のショットを絶え間なく切り替える構成でした。
忘れないでください。これは3Dで見ています。つまり、奥行きが変わるたびに、目と脳が調整を強いられるのです。その結果、非常に不快な体験となり、普段はかなり耐性のある私でも少し気分が悪くなりました。
ミュージックビデオの潮流がそうしたテンポだとしても、それに合わせる価値はありません。
むしろ必要だったのは、動きとカットを抑えた、より長回しのショットです。理想を言えば、ユーザーが見たいショットを自分で選べること。これは今の没入型映像にはまだない機能ですが、実現すれば計り知れない価値をもたらすはずです。
とはいえ『Enter Sandman』では思わずヘッドバンギングしていました。今朝、首が痛いのはたぶんそのせいです。
対照的に、最近公開されたもう一つの作品、The Weekndの新曲「Open Hearts」のクリップがあります。同じ技術を使いながら、ゆったりとした長いシーケンスが見事に設計されており、奥行きが強く感じられる場面でも、まったく快適に見ていられます。
逆の視点: 不快さを機能として使う。
どんなルールも破られるためにあるように、意図して不快さを持ち込みたい場面もあります。ホラーゲームでは、場所や光、奥行きを素早く切り替えて恐怖を煽ることができますし、より真面目な用途では、PTSDの患者の治療において、統制された環境下でトラウマ的な状況を再現するためにVRが使われています。
クリエイターのみなさん、次のプロジェクトでこの新しい媒体を検討していますか。ぜひご相談ください。
XRの十戒: https://lnkd.in/gnZkkKNS